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2010年5/18-6/6 スペイン&ポルトガル旅行(5/31)  [出来事]


2010/05/31

DSC01330.JPGオッラア~。今日も快晴、バルコニーからの眺めも最高です。朝食を済まし、荷物を整理し、今日はホテルから移動です。ペントハウスから重い荷物を1階まで下げ、しばらくすると大きなワゴンが。ボデガス・トーマス・クシネのトーマス・クシネさんが手配してくれた車です。ありがたいなぁ、感謝。ボデガス・トーマス・クシネはコステルス・デル・セグレにある、この地を代表するボデガなのです。ラウル・ボベさんのカステル・デンクスもコステルス・デル・セグレですがサブ・ゾーンが違い、こちらは南のエリアとなります。

車で2時間ちょっと、ボデガス・トーマス・クシネに到着。トーマス・クシネさんが出迎えてくれました。トーマス・クシネさんとは昨年のスペイン最大のワイン見本市フェナビン2009でセラー・エスペルトのラムンチョが紹介してくれ、そのワインの美味しさに感激し取引をお願いしたボデガです。赤ワイン、白ワインともに素晴らしいワインをリリースしています。


到着後、すぐにボデガの見学。

DSC01327.JPGD.O.コステルス・デル・セグレにはカステル・デル・レメイとセラー・セルボレスという二つのビッグネームのボデガがありますがじつはこの二つのオーナーで、20年以上この二つのボデガでワイン造りを行い、現在の名声を築いた人物なのです。しかし、トーマス・クシネ氏は、小規模で自分がこうあるべきと考える最高のワインを造りたいという夢を捨てられず、2003年に独立し、ボデガス・トーマス・クシネを創業。
現在は、カステル・デル・レメイやセラー・セルボレスとは離れ、現在はボデガス・トーマス・クシネのみを運営しています。


エル・ブジのソムリエ、ダビッド・セイハス氏も『トーマス・クシネはコステルス・デル・セグレを最も知り、最も理解している人間だ。そこから生まれるワインはとても素晴らしい』とコメントしているように、この地において最高の醸造家であることは間違えないようです。隣り合わせの新・旧ボデガで本当に素晴らしい現在4つのワイン(白2、赤2)を生産しています。バルセロナの有名ワインショップのヴィラ・ヴィニテカでも一押しのワインとして販売されています。


DSC01341.JPGセラー見学後、樽熟成庫でテイスティング。今回はブレンド前のモノ・バラエタル(単一品種)のテイスティング。ガルナッチャ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、マルセラン、カリニェナをテイスティング。バレルサンプルなのでまだまだ渋さ満点ですがもちろん潜在能力は高そうです。個人的にはカベルネ・ソーヴィニヨンが一番良かったかなぁなんて思いました。

こういう場所でテイスティングすると背筋が伸びるんですよね。


トーマスさんは他にもシラー、テンプラニーリョ、スモイ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュラー・トゥルガウ、ヴィオニエ、マカベオ、パレラーダ、アルバリーリョ、シャルドネなどのワインもつくっているのです。ブレンドの補助品種としていろいろな葡萄の可能性を調べていると話していました。
テイスティングしたどのワインもしっかりと芯を持った素晴らしいワインでした。

00000001.jpg1時間ほどゆっくりテイスティングをし、畑に行こうと出発。まず最初に行ったのは今年新たにリリースされる白ワイン、『マカベオ・フィンカ・ラコンス』をつくる二つのうちの一つの畑。ここは1917年植樹のマカベオが植えられている畑。マカベオでこんな樹齢が高い樹を見たのは私は初めてです、迫力あるマカベオ(写真)です。ここの畑の葡萄と1955年植樹のマカベオに4%のアルバリーニョをブレンドしてつくるトーマス・クシネさんの最高傑作です。生産本数は3,227本という大変少ない希少なワインです。サンプルを東京でワインのプロの方たちと2度飲みましたが皆さん大絶賛していました。特にワイナートの元主筆をされていた田中克幸氏はここの大ファン・笑。

買えるだけ買いたいとお願いしましたが、全ディストリビューターが同じオーダーなため、割り当てとなりました。日本への割り当ては240本。もっと欲しかったよーーー・悲。

さらにいろいろな畑を見て回りましたが、本当に数多くの葡萄を植えていてよく間違わないなぁと思ってしまいます。トーマス・クシネさんの目指すワインはvino fresco(爽やかな、活き活きとしたワイン)。多くのエノロゴは、許容範囲内で最大限まで熟したブドウを求める。でもトーマスさんはそれは間違いだと言う。適熟の状態で、発酵・熟成の中で酸、苦みを和らげていく形が正だと考えているそうです。 だからエレガントに仕上がるんですねぇ。



DSC01375.JPGしばらく畑を見ていると畑の前に巨大パラソルとその下にテーブルと椅子がセットされており、そのそばにはバーベキューの用意がされているではありませんか。こんな素敵なランチができるなんてとろけそうです。スタッフの方が手伝いに来てくれ素晴らしいランチタイムの始まりです。

こういった心遣い、本当に嬉しく思います。まだそんなにトーマスさんからワインを買っているわけではないのに・・・・うるうる。



そしてスタートのワインは数がなくて困っているのにマカベオ・フィンカ・ラコンス2009を!日本で飲んだマカベオ・フィンカ・ラコンスも最高だったけど、こうやって畑の中で飲むマカベオ・フィンカ・ラコンスは本当に美味しすぎてとろけちゃいますね。トーマスさんのことますます大好きになってしまいました。



美味しいパン、美味しいアンチョビ、そして最初に焼いてくれた美味しいエビを食べながらマカベオ・フィンカ・ラコンスを大いに楽しみました。

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00000001.jpg白ワインが終了したとき、次はビロセルかな、ゲオルかなと思っていたところに "50% Cabernet sauvignon"、"25% Garnatxa"、"25% Syrah" と白地の簡単なラベルに書かれただけのワインが登場しました。ボトルはブルゴーニュタイプ、今まで見たことのないワインでした。『このワインはどんなワイン?』と質問すると、トーマスさんは『何も聞かずにまず飲んでみてくれ』と。
大振りのボルドーグラスに注がれたワインは私の触手がぐぐっと動いたワインでした。

炎天下の野外なのでワインの温度のコントロールは凄く難しいのでしょうがなかったのですが、このワインを飲むベストな温度じゃないため、私の我が儘でワインの温度をいじらせてもらいました。いや~、もう抜群の味わいでした。ちょっとこのワインの美味しさには本当に驚きました。

そしてこのワイン、ブルゴーニュ用のグラスで飲んだらさらに美味しくなると私は確信しております。カベルネ・ソーヴィニヨン主体ですがこのワインは絶対にブルゴーニュ用のグラスがベストです。
はい、驚きの1本でした。きっと高いワインなんだろうなぁ・・・。

 

トーマス・クシネさんからこのワインにストーリーをお聞きしました。はぁーー、まさにスペシャルなワインでした。

バルセロナにあるスペインで最も有名なワインショップのヴィラ・ヴィニテカ。ヴィラ・ヴィニテカのオーナー、ジョアキム・ヴィラはスペインワイン界の超有名人。スペイン全土の高級レストランにワインを卸し、海外の有名生産者のスペインでのディストリビューターでもあります。そのヴィラ・ヴィニテカが2008年、75周年を迎え、その記念事業として26の超有名ボデガに75周年を祝うスペシャルワインを依頼し、現在26本セットとして販売しております。私がスペインにいたときはその価格は3,400ユーロ(40万円弱)で販売されていました。その26のボデガの中にボデガス・トーマス・クシネも入っており、その実力の高さを改めて知りました。

そのヴィラ・ヴィニテカ用スペシャルワインは一つだけつくったのか、それともいくつかのワインをつくってジョアキム・ヴィラが選んだのかを聞くとトーマス・クシネさんはスペシャルワインは二つつくった、一つはシラーベースのワインでもう一つはカベルネ・ソーヴィニヨンベースのワインをと言い、ジョアキム・ヴィラはシラーベースのワインを選んだと話してくれました。

ということはもしかしたらこの葡萄品種だけが書かれたワインはもう一つのスペシャルワインなのかと期待を膨らませているとトーマス・クシネさんが『このワインがそのスペシャルワインの片割れのカベルネ・ソーヴィニヨンベースのワインなんだ。ハルヒコ、凄いワインだろ』と話してくれました。『このワイン、美味しすぎる』と言うと『もし気に入ってくれたなら、日本で販売してくれないか。ヴィラ・ヴィニテカのこともあるのでスペイン以外の国で売れたらと思っている』と話してくれました。

でも26本で3,400ユーロの中の1本なので、価格があまりに高ければ絶対無理と話したところ、特別なワインで全数を引き受けてくれるなら価格はできるだけ安く出せるよう考えると言ってくれました。

まだこの時点では価格は決まりませんでしたがこんな美味しいワインは滅多にお目にかかれないと思ったので全数いただくことにしちゃいました。まさにスペシャルワインでした。トーマス・クシネさんにラベルの制作などもいらないのでできる限りコストを抑えて、価格をつけて欲しいと頼みました。日本到着がとても楽しみなワインです。
※後日、価格が決まったのですがこんな素晴らしいワインなのに私が思っていた価格よりもかなり安い価格で案内をもらいました。こんな嬉しい知らせをくださるなんてますますトーマス・クシネさんを好きになってしまいました・笑。

00000001.jpgでもこうなるとジョアキム・ヴィラが選んだシラーベースのワインって興味がわきますよね。ダメもとでトーマス・クシネさんにシラーベースのワインも可能なら飲んでみたいとリクエスト。すると携帯でボデガに連絡を入れ、スタッフの方が持ってきてくれたのです。本当にトーマス・クシネさんって最高いい人です。

で、そのシラーベースのワインを飲み比べたのですが、樽熟庫のテイスティングの時も思ったのですがここのワインってカベルネ・ソーヴィニヨンが私はとても良いと思っているのでこのスペシャルワインも私個人的には私が購入したワインの方が美味しいと思いそのことをトーマス・クシネさんに言うと、『うん、俺もそう思う』と笑って答えてくれました。なんだかわくわくしちゃいますよね、こういう話って。

このシラーのワイン、ラベルはヴィラ・ヴィニテカの創業の年の新聞記事に葡萄の収穫風景の写真があったそうでその写真を加工しラベル(写真)にしたそうです。凝ってますよねぇ。さすがヴィラ・ヴィニテカです。少しでも近づけるようがんばりたいですねぇ。


最高に楽しい時間はすぐに過ぎちゃいますよね。もっともっと時間が続けばよいと思うのですが、次のアルス・ヘリピンスにも今日訪問しなければなりません。本当に素敵なワインをありがとうございました。東京にも遊びに来てくれるとのこと本当に楽しみです。

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そしてトーマス・クシネさんにスペイン一超変わった(笑)ボデガのアルス・ヘリピンスのウリオールとの待ち合わせ場所(BAR)に連れて行ってもらいました。1時間半ぐらいのドライブ。まだ秘密ですがトーマス・クシネさんにあるお願い事をしちゃいました。BARに着くと写真で何度も見たウリオールが待っていてくれました。ここのBARではコカ・コーラを飲みました。30分ぐらいみんなで話をし、トーマス・クシネさんはボデガに戻られました。トーマス・クシネさんとの素晴らしい時間も絶対忘れないだろうなぁ。

DSC01404.JPGウリオールの車に乗り換え、いざアルス・ヘリピンスへ。
まずは畑を見に。ここには日本ではほとんどの方が聞いたことのない葡萄品種スモイが植えられています。とても健康そうな葡萄で畑の管理が素晴らしいことがわかります。ここペネデスの伝統品種で昔はかなり植えられていたそうだが酸度が高く、色が出にくく、タンニンが少なくとても難しい品種ということもあり、市場のニーズ、原産地呼称統制委員会の規制により、どんどんカベルネやメルローなど他の外来品種にとって替わられてしまい、今ではほんのわずかな樹齢の高いスモイが残っているだけと聞きました。しかしこのスモイ種は適熟させれば長熟のポテンシャルを持つ素晴らしい葡萄であるとウリオールは言います。
 
ウリオールがつくるアルス・ヘリピンスはこの古樹のスモイにわずかなガルナッチャをブレンドしてつくるワインで私はブルゴーニュのプリューレ・ロックのようなニュアンスを感じるワインだと日本で数回テイスティングし思いました。


畑を見たあと、ボデガへ。ボデガに到着、ボデガはペネデスの奥地、標高600mのところにあり、まわりには何もありません・笑。奥様のグロリアとお嬢ちゃんのベルタちゃんが出迎えてくれました。ボデガの前には家庭菜園があり、農学士であるグロリアさんから『この畑は日本の自然農法の創始者、福岡 正信の教えを守りつくっている』と話してくれました。

DSC01425.JPGご自宅兼ボデガである建物の中に入るとまさに手作りでワインをつくっているんだろうなぁとすぐわかります。できる限り人為的介入を少なくしワイン造りを行いたいそうです。ボデガに向かう車の中でもいろいろな話をしました。現在やっているワイン造りのリスクの多さにも触れましたが、ウリオールは『自分でつくりたいワインをつくることが一番大切だと考えている。もっとリスクの少ない方法で良いワインもつくれることは知っている。でも僕のワインを目指したいんだ』とコメントしていました。


現在の生産本数がベストのワインをリリースすると言うことで1,500本と大変少なく、セカンドワイン的なものも考えたらと話をすると、アルス・ヘリピンスはこのワインしか考えていないととても強い意志を持ってワイン造りを行っています。

ワインはあくまでも自然の味わいを出したいそうで、現在大樽や古樽を使用していますが、将来は写真のようなアンフォラ(壺)で全てを仕込みたいとコメントしていました。


このアルス・ヘリピンスはまさに今までスペインには全くないタイプのワインでしょう。いろいろなワインを飲み、いろいろな経験を積まれた皆様にはとても興味深く、素晴らしいワインでしょう。何年もスペインワインビジネスを行っているワイン商のH氏は『神々しいワインだっ! 過去飲んだスペインワインで一番印象に残っている』とコメントしてます。

まさに興味深いワインです。このアルス・ヘリピンスという名はウリオールとグロリアの娘、ベルタちゃんが5歳の時につけた名前で、なんでもベルタちゃんが考え出した魔法の言葉だそうです。

DSC01433.JPGバルコニーにて2005年、2006年、2008年をテイスティング。どれも本当に素晴らしいワインでした。何でも世界的にも有名なスペインのレストラン、ムガリッツにいらした元ソムリエールのリンダさんは熱狂的なアルス・ヘリピンス・ファンだそうです。このワイン、やはり一般的にはまだまだ飲まれることがなく、エル・ブジ、カン・ロカなどの3つ星を中心に星付きレストランの使用がほとんどとなっているそうです。

ビオディナミワインの先駆け、フィリップ・パカレなどを初めて日本に紹介したヴォルテックの立野社長もこのワインを飲み『素晴らしい、スペインにもこんなぶっ飛んだ生産者がいるんだぁ~』と驚いていましたっけ。

テイスティング中にビオディナミの本を見せてもらい、そのカレンダーで『ワインが美味しい日、この日はワインを絶対に飲んではいけない日』などウリオールとグロリアから聞き、この本をもらいました。そのときはあまり気にしなかったのですが数日後この本を信じる大きな出来事が起こりました。

 

テイスティング終了後、ご夫妻と食事をし、楽しい時間を過ごしました。グロリアさんのお料理、とても美味しかったです。そしてファミリー用という白ワインも飲ませていただいたのですが、これもまた素晴らしいワインでした。素晴らしい自然に囲まれ、自然を尊重し、生きているウリオール・ファミリー、とても素敵なご家族でした。

アルス・ヘリピンスはまさに『魔法のワイン』ですね。ここでも楽しい時間はすぐに過ぎてしまいます。
そしてウリオールのお父様が経営しているホテルに送ってもらうとき、ウリオールにもあることをお願いしちゃいました。

今日も一日、素晴らしい日だったなぁ。

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